空のWi-Fi
凄い時代になったものだ、と思う。
空の上で自在にネットが使えるなんて
ひと昔前には、考えられないことだった。
いや、それ以前に、私が社会人になった時
職場の先輩がヨーロッパ研修から戻って来て
胸元に折りたたんで入れられる「小型電話機」が
いずれは日本にも広く普及するだろう、と言って
見せてくれた写真が、絵空事のように思えて仕方がなかった。
今や移動通信の世界も
まさに日進月歩なのだな、と実感する。
電波など、ある意味、目には見えないけれど
確かに「存在」する事実を
私たちは、ごく身近なものを通して
信じざるを得ない状況に置かされて行くのだ、と
そんなことも同時に思ってしまった。
機体中央上部にある、ぽこん!としたモノが
おわかりになるだろうか。
【撮影日:2015年12月5日】
一体、どんな仕組みに…と思えども
電波の世界も波長によって使用制限と区切りがあるので
やっぱり、成せばなるもんなんだ、と改めて思う。
私も仕事柄、車や船舶、列車に取り付ける電話機
そして、肩から提げたり、辞書ほどの大きさの手に持つ電話機
更には、携帯電話にスマートフォンに…と
職場では、いろいろな機種を扱って来た。
その職を辞してからの方が
モデルチェンジの速さに、驚かされているけれど。
空の世界にもWi-Fi参入…とは
やはり、個人的にも大きな驚き以外の何物でもなかった。
出発準備をすっかり終えて
グランドさんたちのお手振りを受け
滑走路へと向かう機体。
路面の影が出たり、隠れたり…と
あまりの天気の変化のはやさにも呆れてしまうが
それが、冬の北の大地でもあるのだろう。
滑走路エンドにて、管制塔からの離陸許可待ち。
大空に上がったら
乗客一人一人が、いろいろな通信機器を
自在に使える時代になったのだな、と
どこか妙な気分になりながら、機体がゆるりと動き出すのを
ガラス窓のこちら側から、静かに見送った。