DAIBA の夜
夫にとっては、通いなれた場所なのであろう。
朝に夕にと、家から職場へ、その逆へ。
駅の改札を出て地上に上り
見上げてみれば、さすがのビル群。
でも、カメラを向けて部分抜きをしたとて
その光景は、私にとっても珍しいものではない。
大手企業やTV局、はたまたマンションが隣接し
その近くには、私の自宅の隣にあるものと同じスーパーがある。
ここが生活の場である人たちもいるんだなぁ、なんて
ぼんやり思いながら、正面にある大型商業施設の
観覧車を見つめた。
七色の光が次々といろいろな模様を織りなしながら
人々の目を楽しませてくれるけれど
対面にあるビルのガラスの壁に、すべてが見事に反射して
ふと、そこで働く人たちにとっては
効率があがらないだろな・・・なんて、ちらりと想像してみたりする。
週末の夜。
都心とお台場を結ぶレインボーブリッジが
白く夜空に浮かび
その下の海の上を
幾隻もの屋形船が光をまといながら
右へ左へとゆったり行き来していた。
「あ!東京タワー!」と、隣で夜景を眺めていた
私よりも少しだけ年上と見受けられる女性が
連れの男性に、小さな感動を伝えている。
どうやら、もうひとつの「タワー」には
昼間、ふたりで繰り出していたらしい。
聞くともなしに聞こえてきた会話を耳にし
遅い夏休みを東京で過ごすご夫妻であることがわかったけれど
今年は私たちも、宿泊での旅行には行かれないから
どんな名目であれ、日常と切り離された空間が
もはや、それだけで「遅い夏休み」の雰囲気を楽しめそうな
仕事帰りのひと時。。。
夕食は、何を食べる?と聞かれ
某ホテルのレストランの名前を提示されたけど
かしこまった場所よりも、私はこちらを選んでしまった。
熱々のたこ焼きを頬張りながら
たまにはコーラ片手に夜景を独占出来るのも
悪くはない。
本来なら、ここからが大人たちのカクテルタイムなのだろうけれど
帰らなきゃ、ね。
・・・思いっきり、最寄り駅を通る路線が運転見合わせになっていて
迂回して帰ってきたけれど
都心ならではのトラブルもまた
この頃は珍しくなくなってきただけに
乗客も、誰も慌てず
イヤホンを耳に突っ込みながら、スマホを覗いている。
顔を上げれば、都心の夜景が見えるのに。。。