風のつばさ

思いのままに吹く風に乗って、今日はどこに飛んで行こう♪

山の青さ ~4月最後の土曜日に~

父が車のハンドルを握っていたのは
私が二十歳の頃まで、だった。

父は、年齢を高くして私という娘を授かったので
よその若い父親の様には、私を扱えなかったけれど
それでも、私が14歳になった時、母共々、運転免許を取得し
我が家にもマイカーなるものがやって来た。

私は4月生まれなので、高校3年生になってすぐ
免許取得の資格年齢に達し
学割をバリバリに効かせて、10万ちょいで免許を取ったけど
学生の分際で車の運転などダメ!と言われ

以降、25年に渡り
私は自分でハンドルを握ることはなかった。


母の里も、そして、父の親が住んでいた場所も
東北のエリアだったので
親たちは、自分たちの夏休みに合わせて、次第に車で里帰りするようになり
私も何度か後部座席に乗って、同行したことがある。

8月の暑い時期・・・
まぁ、お盆は外して行ったけど
よくもまぁ、還暦近い父親はひとり運転で結構な距離を
運転し続けたものだと思う。

程なく父は、難病で寝たきりになり
20年以上に渡って、自由の利かない生活を強いられたけれど
今度は母がハンドルを握り、私が父の介護を全面的にフォローして
たった1度だけ、父を、父の両親が眠る菩提寺の墓参りに
連れて行ったことがある。

あれももう、20年以上、前のことだ。

以来、車で遠出なんてしなくなったし
私は免許は持っていても
結婚後は、車がなかったので、運転はずっとして来なかった。

高校も大学も就職した会社も
全て都内だったので
移動の足は完全に電車となり
夫の職場の宿舎には駐車場もなく
車は完全に、私の日常生活の中では不要のもの、というか
アリエナイものとなっていた。

だから、ドライブなんて、何十年ぶりのことだっただろう。。。



友人のお嬢さんが運転する車に乗せていただき
懐かしい東北道を走る。

北関東自動車道を抜け、関越道を走り
関東はすっきり晴れていたのに
新潟に向かうほど、天気が変わっていくことに
ちょっとした驚きと感動を覚えてしまった。



途中のサービスエリアで休憩を取り
手足を思いっきり伸ばして
見晴らしのいい場所へと行ってみる。

なんてこと!!!
こんなに近くに山が見える!
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空の青さと、雲の白さと

それに、ナニナニ???
ウチのエリアでは、もう、すっかり散ってしまった八重桜なのに
今、ココではやっと満開!だなんて・・・。

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へぇ・・・
車って、便利だな、と思った。

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いまだに私の日常は変わらないし
諸事情により、鉄道の駅前に引っ越して以来
移動の足に不便を感じるどころか

早朝から深夜まで、電車は走り続けているし
駅前にはタクシーが24時間常駐しているので
夫との生活だけなら、何も困ることもない。

スーパーも、ウチの隣だし
不意な来客があり、食事の必要が発生すれば
居住エリアの階下には飲食店があるからねぇ。。。

だけど、、、

随分と、便利さと引き換えに
多くの豊かさを失ったと思う。

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いつの間にか、仕事と介護に追われて
草木の緑も、花の色も、空の青さも自然の豊かさも
無縁の生活になってしまったことに気が付いた。

勿論、人の手が築いて行った伝統・文化・建造物を五感で味わい
時代の遺産や、その価値を知ることも素晴らしいのだけど

人の手で作り出したものではないものは
やはり、比較にならないほどダイナミックだ。
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4月最後の日・・・。
遠くに見える山々に焦点を当て
カメラのズームをかけてみた。

山の青さ、という言葉
私にはどうにも理解が出来なかったけど
モニターに映し出された画像を見て
なるほど、と納得した。
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山頂付近をもっとよく見てみたくて
更にズームをかけてみた。
残雪も結構、あるなぁ~と思っていたら
あっという間に、雲がかかり、その光景を隠してしまう。
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もう少し、時期が早ければ
ソメイヨシノに彩られた光景が、あったのだろうか・・・。
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今は、私自身が体力的におぼつかず
更に行動半径が狭められている日々だけど
新緑がはっきりとした緑に染まる頃

今度は自分で運転して
少し、自然の中に身を置いてみたい…と思ってしまった。

まぁ、その前に、父の墓前にも出向き
私も後に入る「別宅」の掃除も、して来ないとね。

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さ、そろそろ行こう!と声をかけられ
再び車に・・・。

時速制限の数字を見て
ふと、父の運転で高速道路を走った日のことを
懐かしく思い出してしまった。
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