赤、が好きとて
通院の帰り道
横断歩道の信号で待たされて
何気に車道との境にある、植え込みを見た。
あれ…!紅葉してる!!!と、驚いた。
ドウダンツツジ、って言ってたっけ。
コンクリートで固められた立地の中に居ながらも
どうしてこんなにも、鮮やかでいられるんだろう!と思った。
とてもとても、この部分だけを切り取らねば
無機質な風景の中にあっては
完全に彼らは飲み込まれてしまうから
不要な部分は、ばつん!と枠外へと押しやってみる。
赤信号は想像以上に長く
すぐに渡れるかな、と思ったら
オカシナ十字路の影響で
片側ずつの通行専用の青信号が灯り
他はバッチリ、停められたまま。
だから、足元の木の影にも気がついた。
そしてふと見上げてみたら
そこには何と、赤い実が!!!
木の幹に「クロガネモチ」と書かれたプレートが
風雨にさらされて久しい様子を告げながら
斜めにぶら下がっていた。
小さくも、ダイナミックな秋が
そこにもあることを知り、光景を切り取って持ち帰ろう!と
スマホを懸命に向けてみた。
オートフォーカスのはずなのに
こんな時に限って、スマホのカメラは焦点をなかなか結びたがらず
仕方なく、幾度もシャッターボタンを押した。
全く!
赤い実に、スキッとピントを合わせて欲しかったのに…。
そして、もう一度、道路の側に振り返った時
既に歩行者用の信号機は
折角の青から、赤になっていて
またもや、待たされる羽目になり
軽くためいきをひとつ、つきながら
目の前を激しく往来する車たちを
ぼ~っと眺めることになってしまった。
やれやれ・・・。
いくら、赤が好きだからとて…。