北野異人館 ~神戸三ノ宮から~
今年2月・・・
あの震災後、初めて訪れた神戸三ノ宮。
つまり、軽く20年は
鉄道利用で東京から西のエリアには
行っていなかったことになる。
関東在住の私にとって
余程のことがない限り、京阪神に
足を運ぶ機会など、ない。
だから、随分と久しぶりだな、と思った。
大学時代、卒論や卒業単位修得のための必要もあり
京都・神戸には、毎年足を運んでいた。
当時は今ほど観光地化されておらず
北野エリアの異人館も、日常の生活の場としている風景の中で
静かに建っていた記憶がある。
常宿にしていた場所が三宮駅近くにあったので
その日の研修が終わった後やオフの日には
随分と近隣を歩き回ったものだ。
なので、神戸のこのあたりは
今も地図は持たずに歩ける。
こと、にぎやかさが苦手な私にとって
車も人も気を遣いながら通る道や
甲高い声で話をするグループの近くは
出来るだけ避けて通りたい。
なのに今やもう、朝早くから大勢の観光客たちが訪れ
その大半は中国・韓国・台湾などからやって来た人たちの様で
あっという間に、にぎやかな彼らの言語に囲まれてしまう。
逃げるように、すっと脇道へエスケープ。
そうそう、そこにはこの教会があったのだっけ。。。
道の先にあるのは、英国館と洋館長屋。
英国贔屓の私にとっては、このどちらもが大好きな場所だった。
側にあるチケットブースでは
「異人館入館の、共通券ありまーす」って
呼びかけていたけれど
私の前を行く集団は、韓国語を話していたので
日本語がわかるとは思えないんだけど、な。。。
おや、可愛らしい看板がたっている。
モンマルトルの画家たち???
この美術館、左手にある細くて急な階段を上り
道なりに進んで行ったところにあるらしい。
そして、なるほど。
北野エリアは、パリのモンマルトル地区と友好提携を結んだのか~。
「あ、ここ通ります? 今、近くで住宅工事をしているので
資材に気を付けてお通り下さい」と、警備の方に丁寧に言われ
何となく、通らざるを得ない状況に…(笑)
それにしても、昔から、こんな階段、あったっけ???と思いつつ
1段1段上がって行ったら、ここに出た。
庭のみ、無料開放の異人館。
メッチャ静かで助かったけど
なぜかこういうところには、人が来ない。。。
私も入口で写真を撮っただけで、あとはスルーしたけれど。
まずは坂道のてっぺんにある、うろこの家まで上ってみよう。
勿論、私はどこにも入館しないけどね。
見上げた空に、異人館の門続きのゲージと
民家の庭に生えている柑橘の樹が、にょっと伸びている。
マイペースで上って来たので、息は切れないけれど
凄い坂だねぇ。
ん???塀に何か書いてある。
Anno Domini 1905 西暦1905年建築
Haus auf einem hügel 丘の上の家 か。
ドイツ人が住居にしていた、という
うろこの家に到着~。
黒い壁の様な境界線が作られていて
これでは内部の様子が全くわからない。
ムカシはもっと外から建物が見えたような気がするんだけどなぁ。
リアルに飛ぶ鳥、写っちゃったし(笑)
「入場券はこちらで販売しておりますが」と
目の前にある小さなボックスの中から、声をかけられた。
「1名様、千円です」と更に言われて
黙って私はその場を離れた。
私の記憶にあったその異人館は
もっと落ち着いた、開放的な雰囲気があったはずなのに。。。
そして、少しの間、細い道をわざと選んで
坂道を上ったり下りたりして、遊んでみた。
おらんだ坂・・・
そうそう、確かここでは無料の民族衣装を借りて
友人たちと写真を撮ったなぁ~と、思い出す。
しかし
閉館・・・。
そっか。
庭も温室も、荒れ放題なのは、管理者が居なくなったからなのか~。
住居の脇に設えられた、小さな礼拝堂も
もはや、家人の祈りと賛美とをそこに聞くことはないのだろう。
礼拝堂の門扉にかけられている
木製の板には、主の祈りが記されていたけれど。。。
そして、このポストも
静かに現役を引退したのだな、と、そこにある錆を見て思った。
再び歩き出し、いくつかの小路を抜けた時
ふと聞こえて来たモーツアルトの曲。
何処から流れているのだろう、と振り向いたら
「こんにちは~!よろしければ、ご覧になりませんか?
こちらで3館共通パスポートを販売していますが」と
またもや、声をかけられた。
「価格は1300円で、400円ほどお得になっています」だそうで。
勿論、丁重にお断りして、また歩き出す。
異人館は海外で見たから、もういいや。
ハンター邸の白い塀に突き当たったので
今度はゆるりと坂を下って行く。
かつて、そうしたように
塀の一部にある「H」のマークを狙ってみた。
さあ、北野異人館エリアに来たのなら
是非、ここに立ち寄って帰らないと。
それにしても、北野天満宮の石段は、相変わらず、急だこと!
登りつめてから振り返り、写真を1枚。
境内の一角にある、展望所からは
隣接した風見鶏の館の「風見鶏」が、目の高さに見える。
ここにも、誰も居なかった。
ん?この日は南風かぁ。
風見鶏の館・・・。
今やもう、この周辺は綺麗に整備され
目の前には、フォトスポットなるエリアが出来
ベンチのある公園になっていた。
随分、変わったね~。
おかげで、観光客多し。。。
のんびりと、こんな写真を撮っていたら
「サージン、サージン」とか言いながら
わやわやと人が群れて来て、中のひとりが私にカメラを渡し
あの建物をバックに、シャッター押してくれ、と言っている。
韓国の方だったので
1枚撮って、「ト ハナ~(もう一枚)! ハナ~ドゥル~セッ(1.2.3)」
と言ったら、更に仲間たちを呼び、もう一枚撮って!と言う。
はいはい、シャッターくらい、いつでも押しますよ。
も少し歩いて、ちょっと休憩~。
六甲牧場の濃ゆ~いバニラのアイスで、エナジー補給♪
美味しゅうございました、とっても♪
北野坂の途中にあるスタバ!
移築された異人館で営業しているんだね。
ココはいろいろな言語が飛び交っていて~の
大盛況。
20代の頃は、やっぱり若かったんだなぁーと
坂道を下りつつ、実感した日。。。
そして、異人館の街にあるコンビニが、あまりにもモダンだったので
新鮮な驚きをもって、立ち止まってカメラを向けてしまった。
時代は、変わった、と
実感した旅先でのひと時となった。