トンボとヘリと
窓を開け、ぼんやりと外を眺めていたら
トンボが1匹、ふわりとやってきて
植物を支えている支柱の先端にとまった。
あらまぁ!と、やんわり見上げながら
空がもう少し澄んでいれば、本当に綺麗なんだけど・・・
なんて思ってみたりする。
自分が近づくわけでなし
カメラのレンズを望遠にして、シャッターを静かに押してみた。
程よい距離があるためか、案外、トンボは動かないものだ。
日に日に風が冷たくなり
もはや、朝夕など寒さを感じるほど。
今日の予定を頭の中で反芻しながら空を見上げていたら
突然、頭上からヘリの回転翼の音が響いてきた。
マンションのルーフの陰から
にょ、と姿をあらわす機体。
どこから飛び立ったのだろうねぇ・・・。県警のヘリだ。
私は、空を飛ぶものが好き。
中でも飛行機が好き。
そしてその飛行機の中でも、とりわけ大型旅客機が大好き。
A380に乗った時は、その大きさを体感し
まるで空飛ぶ高級ホテルだな…と思ったけれど
フォルム的には、B747が好き。
でも、ウチの近くには空港がないから
精々、上空を通過する機体を、超望遠で狙うしかない。
ヘリかぁ・・・と思ったけれど
見ればこれもなかなか面白い。
機首が黒色で、機体には オレンジ色の縦帯を巻いた
スカイブルーとシルバーのツートーン塗装が施されている、とのこと。
与えられた呼び名を記すと、もうバレバレだけど
「むさし」と命名されたその機体も
わが街を上空から見守ってくれている。
あっという間に、高みに駆け登り
遠方に飛来して旋回してきた。 (ぼんやりした写真でごめんなさいぃ)
まるで、自分の存在をアピールするかのように
機体を翻しながら、全ての角度を見せてくれる。
まさか、向うからこちらが認識できているとは思えないけれど
再び、すぐそばの空までやってきてから、飛び去って行った。
次第に遠ざかっていく回転翼の音を聞きながら
あぁ、行っちゃったねぇ、なんて
誰に聞かせるわけでもなく、呟いてみる。
そして、あ、トンボはどうしたかしら、と思い出す。
・・・まだ、いた。
そして、お好きなだけ、居ておいき、と
そっと言葉をかけて、私は出かける仕度を始めた。