ねこが居るので
ねこが居るので
エアコンが切れぬ、夏。
ヒトも熱中症になる時代だもの
閉めっ切りのマンションに
日がな1日、閉じ込められていたならば
ネコだって、大変なことになる。
だから、エアコンが切れない。
そんな快適な室内から、ガラス窓越しに見る空は
無責任とさえ思えるほどに
過行く白雲を目で追うだけで
もはや、かつての忙しさが
夢だったのではないか、と思うほど
いろいろなことが思い出せなくなってきた。
でも、まぁ、いいや。
黙っていれば、バレるまい。
人の名前、然り。
花の名前、然り。
子どもの頃は、聞けば覚えられたことも
今は書いたものを見なければ、理解が出来ないし
手元の文字を読もうとして
鼻眼鏡になっている姿を笑われて
何だか、ムカシはいろいろ体裁も
それなりに気にしていたけれど
今はもう、どうでもよくなっていることに気づいてしまった。
こうやって、ヒトは年々、年を重ねて行くのかしら
ね。
リトマス試験紙の色の変化のことは覚えていても
昼の空に浮かぶ月が
上弦なのか下弦なのか
即答出来ぬ自分に
どこかもどかしさを感じてしまった。
じんわり滲み出て来る汗も
もしかしたら、夏の暑さと関係ないのかな
なんて思うけど
ねこが居るから
私の部屋のエアコンは
入れっぱなしになっているんです。