望郷 ~日本らしさ、と言えど~
最寄駅から、空港行きのバスに乗り
来日していた友人と共に、羽田空港に向かう。
この日ばかりは驚くほどスムーズに
1時間もかからずに、ターミナルに到着してしまった。
つい先日までは「桜」のディスプレイがなされていたのに
もはや、初夏の雰囲気が
そこには作られている。
藤棚の上を泳ぐこいのぼり。。。
来日前から、あんなに桜を楽しみにしていたというのに
実際に、実物を見過ぎたのか
友人は花粉をも思いっきり吸いこんで
体調不良が、日本のお土産となってしまったようだ。
だから、もはや
国際線ターミナルのディスプレイを
あれこれ観たがってはいたけれど
友人の心を動かすに至るものはなかった様だ。
それでも、望んでいた「はねだ日本橋」は
見たがった。
その上にある櫓には
上品に灯りがともされていたが
疲れ果てた友人の目には
どうやら、何も映っていない様だった。
少しでも、ホテルの部屋で休んだ方がいい、と
友人を促し
フロア続きになっているホテルに送り届け
ひたすらボ~っとしている友人の
オカシナ微笑みに、どこか違和感を覚えた日。
もしかしたら
もう、これで2度と会うことはないかもしれない
と
そんな思いが脳裏をよぎる。
もう一度、ひとりで「はねだ日本橋」へと行ってみた。
その奥に奉納されている空港の絵馬を
なんとなく眺めてしまった。
そしてその1枚1枚に
ドラマがあるのを感じてしまう。
微笑ましいもの、将来への期待
日々の願い、そして旅の祈願・・・などなど
中には、ハングルで記された
「死ね!○ ○○(個人名)」なんて書かれたものがあり
これには思わず、ドン引き!してしまったけれど。
絵馬は1枚500円。
自販機で販売中~。
何だかひどい疲れを覚えたので
少し、ひとりの時間を持つことにした。
この頃、展示物やその説明を
ひとつひとつ眺めることが好きになってしまった。
しばし、この後
強い風に煽られつつも
私の中でガス抜きがなされるまで
展望デッキで
ヒコーキを眺める。
あまりの寒さに閉口し
引き揚げて来た頃には
ロビーにはまた、新たなディスプレイがなされていた。