風のつばさ

思いのままに吹く風に乗って、今日はどこに飛んで行こう♪

私を行かせて・・・

ギリシャ神話の医神Aesculapius (アスクレピウス) は
人を治療するだけではなく
死者をよみがえらせることも出来たという。

その名にちなんで付けられた、この花の花言葉
「健康な体」
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朱色と赤を混在させた様な色の蕾が
ぐんぐん生長して来て
パッと開くと
今度は鮮やかな黄色とオレンジ色の
個性的な花があらわれる。

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初めて間近で見たのは
去年のちょうど今頃のことだっただろうか。

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今時分あたりから花を咲かせ
実に晩秋に至るまで
絶えることなく、道行く人たちに
その花の鮮やかな色を楽しませた。

足を止め、そっと見入る人もいたし
わざわざスマホを取り出して、写真を撮って行く人もいた。

この植物は、毒も保有するそうだけど
使い方を誤らなければ、止血や殺虫効果もあるので
民間薬としても用いられていたそうな。

アスクレピアス。
命名の由来を思い、なるほど、と思った。


この花はやがては実を結び
たんぽぽのように、白い綿毛のついた種子となり
弾けて、風に乗り、あちこちに飛んで行く。

生命力の強い植物なだけに
育つに適した土地に落ちたなら
ひと粒の種から、実に多くの実を結ぶことになる。

「私を行かせて」

この花の、もうひとつの花言葉
弾けた種が、まさに風に乗って飛び立たんとする時
自分の手でそっと摘み取り、来春のために…と保管するより
自然に任せていた方が良いのかもしれない、と思ってしまった。

そして、ある日、ひっそりと息を引き取った
ひとりの大切な人のことを思い
ちくりと胸を刺すような思い出よりも
共に笑いあった思い出に、感謝を覚えようと思った。

あぁ、まだ30程の若さで逝ってしまった人が
蘇ったなら・・・。


あの日から、10年が経とうとも
20年が経とうとも
彼の母親は、亡き息子の全てのものが手放せないらしい。

「私を行かせて」
そう言いつつも、「小さな恋」という花言葉を有する
この花は、和名でトウワタと呼ばれている。

かつては命日を覚えていたのに
今は、旅立ったその日がいつであったか
もはや、私には思い出せない。

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(ソフトフォーカス機能仕様)