なのはな
日本へと、嫁いできた外国人の友人が
まだまだ慣れぬ日本語で訊いてきた。
「アレハ、ナンノ ハナ デスカ?」
私は出来るだけ、ゆっくりと発音して答えた。
「あれは、なのはな、というお花です」と。
その人は、もう一度、私に問うた。
「アノハナハ、ナンデスカ?」
私はもう一度、更にゆっくりと答えた。
「あれは、なのはなです」と。
ナンノハナ・・・
なのはな。
nan no hana
nanohana
なるほど。
「なのはな」というものが
固有名詞であり、その花の名称であることを
その人は耳で聞いただけでは、理解出来なかったのか、と悟った。
「アノハナハ、ナンノ ハナ デスカ?」
「アノハナハ、ナノハナデス」
何かがその人のツボにはまった様で
自問自答していた姿が、なんとも微笑ましかった。