春散歩 ~かの地のあとさき~
公園の片隅で
大切に大切に飼育されている、リス。
元はこの周辺も、雑木林が茂る
自然豊かなエリアだったけれど
今や、彼らの住処はリス小屋となり
ニンゲンは一方的なともだちとなった。
すっかり綺麗な公園として整地されたその場所は
休日ともなると、大勢の親子連れ・家族連れ・年老いたご夫妻が
それぞれに屋外でしか出来ないことを楽しんでいる。
かつて、そこに植えられた木々も
すっかり根付いて成長し
今の時期は、見事な桜の花を咲かせ
新たな花見スポットの場として、人を呼ぶようになった。
いつの間にか、陽がすっかり傾き
隣接した菜の花畑には、オレンジ色の光が投げかけられている。
さあ、日没前にお家に帰ろう。
この桜の花々も、雨で散り落ちてしまうだろうか。
少しでもこの光景を記憶にとどめたくて
車をゆっくり走らせた日。
春の陽に、すっかりあたためられたのであろうか。
どこかまだぼんやりとした月が
眠たそうに、南の空に浮かんでいた。