風のつばさ

思いのままに吹く風に乗って、今日はどこに飛んで行こう♪

大地が育む白さ ~大根の収穫~

母の友人が、趣味で畑を借りて作物を作るようになり
いつの間にか、本職顔負けの野菜たちを
次々と生み出すようになってしまった。
 
土づくりに10年…という歳月をかけたそうで
土のサラサラ具合には、毎度、驚いてしまう。
 
その畑はある場所は非常に水はけもよく
エリアの中では高台に位置し
その中に立っていると、夏は涼しく、冬はふんわりと温かく
まったく、自然の力にはひたすら驚いてしまう。
 
母なる大地、とはよく言ったもんだ、とも思う。
 
 
さて、その母の友人は、若い時分にご主人が病気で亡くなり
数年前には息子さんもがんで亡くした。
家にいてもきっと、いたたまれない淋しさがあったのだと思う。
 
畑仕事をして、体を動かしていると
わずかでも現実から思いがそらされるのであろう。
そして、育ちいく「いのち」を植物の中に見出しながら
せっせと季節の野菜たちを育て上げているのかもしれない。
 
この冬もまた「大根が出来たから、取りにオイデ~」と
ありがたい言葉をかけていただいた。
 
半身を土から出して
まさに「デン!」とそこに育つ、大根の白さ!
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あまりの立派さに
「凄いですね~」という言葉が、口から出てしまった。
 
 
「ここのひと畝、全部抜いて、持ってって~」なんて
オソロシイくらい太っ腹なことを言われたけれど
ウチは少人数なので、ひと畝なんていただいたら大変なことになる…。
 
干し大根を作る分と合わせても
せいぜい、5本もいただいたら十分だ。
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でも、ご厚意にあずかり、お友達の分を2本、プラスして
5本、いただいてきた。
 
コブ付きのものや、生育不良のものは
畑の肥やしにするべく、収穫しても持ち帰らないというけれど
塩麹や三五八漬けにすれば、美味しくいただけるので
「捨てるなら、下さい~」と、いただいてきた♪
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その隣には、ネギも沢山植えられていて
これまた沢山、土中から引き抜き
「これもあげるから、持って帰りな~」と。
 
収穫した大根と、ねぎの白さがやたらと目にまぶしくて
しばし、じっと見つめてしまった。
 
「こんにちは。毎日、寒いね」と、近所の方だろうか。
通りすがりに、母たちと同年代の女性が声をかけてきた。
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「あ~、ちょうどいいところに来た~。
大根、持って行きな~」と、丸々太ってはじけそうなほど
身が詰まった大根を2本、土から引き上げ
その方の両手に1本ずつ握らせた。
 
「ありがとね~。んじゃ、あとでぶりと煮たら、持ってくわ~」と
家に帰っていく後姿を見送りながら
こうしたさりげないあたたかさがある日常に
ふと、安堵感を覚えてしまった。
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果たして、マンション暮らししか知らない私にとっては
今も、後の生活においても
決してアリエナイであろうご近所づきあいだな…と思い
 
言い知れぬ冷たい思いが、ぴとん、と1滴
足元に落とされたような気がした。