文月の蛾眉(がび)
灼熱の太陽が、容赦なく降り注いでいたバルコニーも
陽のかげりと共に、少しずつ、落ち着いた時を取り戻す。
ブーゲンビリアだけは、その暑さを喜び
見事な色合いを醸し出してはいるが
ニンゲンにとっては、暑過ぎる。
夏至が過ぎ、もうひと月も経ってしまったのだな…と、改めて思い
少しずつ陽が短くなっているのを感じる。
暑さはまだまだ続くというのに。。。
西の空が夕陽色に染まり
その中を飛び行く鳥たちは、すっかりシルエットになって空に映し出される。
鳥たちを見遣りつつ、頭上へと目を移せば
何とも美しいグラデーションの空が・・・!
いつの間にか、私の身長をひょいと超してしまった
フェンネルの花を、絡めてみる。
小さき花が開き、萎んで実を付ける頃には
暦はどれほど進んでいるだろう。
やがてやってくる冬に備え、種をたっぷり取っておこうと決めた。
フェンネルシードは、消化を助けるからね。
そして、きゅうりのロシア漬けを作る時には
欠かせない香辛料だもの。
植物たちの間を通り抜ける風が
少しずつ、穏やかになり始める頃・・・
空にはぼんやりと、細い月があらわれて来る。
文月の、蛾眉(がび)。
明日からは、8月か。。。