ジャンボ機を見つめた日
春に、来日した友人を見送った時
なかなか空港から立ち去れなかった。
せめて、友人が乗った便が離陸するのを見届けてから帰ろう
と、そう思った。
朝の気配漂う展望コーナーの、お気に入りのベンチに陣取り
滑走路へと向かう機体たちを、ぼんやりながめていた。
そしてふと
やっぱり、ジャンボ機が好きだなぁ、などと思ったりする。
A380のどっしりとしたボディでもなく
B787の美しいフォルムでもなく
B747が持つ、特有の美しさ。
独特のエンジン音をうならせて
大空に駆けあがっていく雄姿
やはり、魅力的だな、と思う。
ややしばらくの間、次々と離陸していく機体を眺めていたら
親しく見覚えのある尾翼が目の前を横切って行った。
ジャンボ機の合間に、しゅっと飛び立って行った細身の機体。
ターミナル前を横切る時に、見えるはずはないけれど
両手を思い切り振ってみた。
やや高く昇って来た昼前の陽に照らされて
始まった目的地までの長旅。
帰国した友人から、あれから何度、メールが届いただろうか。
間もなく日本には暑い夏がやって来る。