風のつばさ

思いのままに吹く風に乗って、今日はどこに飛んで行こう♪

ふたり、だったのに

写真の整理をしていたら
懐かしいものがいろいろと出てきた。

改めて眺めつつ
確実に時は流れているのだな、と実感した。

リアルタイムの写真ではないけれど
自分自身の記録のために
記事を書き残していこう、と思った。



年が明けてしまったので
もう2年も前の春のこと。
英国から、古い友人が里帰りしてきた。

今までなら私も30年来の友人と共に
彼女を出迎えに成田空港に行っていたのだけど
こともあろうに、その友人は数ヶ月前に急死し
何とも不思議な出迎えの日を迎えてしまった。

うっかりしている間に
成田空港の乗り入れ航空会社も
あれこれと変化し
利用ターミナルも昔の知識では
さっぱり役に立たなくなっていて、驚いた。

到着板に彼女が乗っている飛行機の便名を確認し
やれやれ、間に合った…と
朝便を出迎えるため、食べはぐった朝食を
コンビニで買い求めて、適当なシートに腰を下ろして摂る。

「今回はクーリエだから」と言っていたので
どうせすぐには出て来まい、と高を括っていたら
あっさりと、到着後40分ほどで姿を現し
出口でキョロキョロしているところに駆け寄る羽目になってしまった。

成田空港に各社LCCが乗り入れたことで
東京駅まで向かうバス便も増え
今まで2千円くらい出していた料金が
路線バス扱いになるものを利用すれば
たった900円で乗れてしまい、彼女も私もビックリ!!!

何年かおきにしか、お互い渡航する機会もないので
メールのやり取りはあれど
実際に会えば、積もる話が山のように出てくる。

不思議なものだ、と思う。

それまでは、私の横に必ず居た友人が、いない。
「ごめ~ん。子どもが急に熱を出しちゃって
今日は行けない~。ホント、ゴメン!」・・・なんて
そんな言い訳を電話で聞いた気がして

友人自身がこの世にいないことが
どこかウソっぽく思えてしまった。



出迎えの日から8日経ち
今度は彼女が帰国する日がやって来た。

航空会社のカウンターが開く時間に合わせて
チェックインしたい、と言っていた彼女に付き合い
それでも、何だってこんなに早い時間に
便の設定があるんだろ…と思いつつ
私も自宅を出る。

まずは搭乗便をチェックしてから
出発ロビーへ。
イメージ 1


彼女はもうチェックインを済ませて
カウンター近くの椅子に座っていた。

1時間くらい、話が出来るね、と
コーヒーを手に、折角なので展望デッキに出てみる。

朝の成田空港。
デッキには人もまだまばらだ。
もっとも、2タミはあんまり眺望が良くないこともあるのだけど。

彼女も実家ではいろいろと用事を済ませ
懐かしい友人・知人との交わりをしてきたらしい。
次に、いつ会えるのか、わからないからね。

それは私も同じなのだけど。

ただ、この日ばかりは
急死した友人のこともあり
見送りの日も、私がひとり、ということに
大きな違和感があり

「不思議だね」と、彼女も小さくつぶやいた。


そして、互いに時間を確認し
言葉少なく出発口に向かって歩いた。

「またね」と彼女が言い
「今度は私がそちらに行きます」と私が答えた。
いつになるかはわからないけれど、と
笑って付け足してみたけれど。

小さく手を振って、手荷物審査場に向かい
人の波の隙間からたびたび振り向き
今度は大きく手を振って、出国審査場に向かって行った。

この日は春らしく
A滑走路の16Rからの上がり。

なので、私も急いで1タミに移動し
彼女が乗る飛行機が離陸するのをとらえるため
展望デッキへと向かった。


懐かしい塗装の機体が目の前を横切っていく。
イメージ 2


そして、現行塗装の機体が
その後に続いて行った。
イメージ 3


懐かしさばかりにとらわれていても
仕方がないことだけれど

それでも、ひとつの時代が終わった…という
何か区切りのようなものを自覚させられた瞬間だったなぁ、と
今、あの日のことを振り返って、ふと思う。


そして、今春もまた
その彼女は日本へと限られた日数だけど
里帰りを予定しているそうな。

今度は、彼女がご主人を亡くし
誰の見送りもなく
ひとりでの旅立ちになるそうで・・・。