風のつばさ

思いのままに吹く風に乗って、今日はどこに飛んで行こう♪

秋の夕陽色

見上げるまで、気づかなかった。
雑居ビルの上階って、居住空間だったんだ…と。


何だかんだ言ってはみても
世の中なんてシビアなものだ。

どんなに大きな企業と言われていても
「お金」の前には太刀打ち出来ない現状がある。

だから、ここまで!と決められたなら
日付が変わった瞬間に
労働者であったものたちは
職場も仕事も、会社所有の賃貸住宅も、何もかも取り上げられた。

昨日まで、スーツを着て出勤していた会社も
もはや知る組織ではなくなり
それぞれが新たな生活へと、歩み行くしかない。


結局、世の中には希望や夢なんて
見出せるわけがない。

動かされているその基準となるものを考えれば
いくら綺麗ごとを並べてみても
何事も「お金」にたどり着くことを、誰もが知っているだろう。


限られた日数の中で
売れるものは全て売り、捨てるものは捨て
住む場所が決まるまで、預けなければならない荷物をまとめた
あの日。

朝から夢中で手を動かし続け
気づいたら、飲まず食わずで夕方を迎えていた。

背後から射し込む
強烈な夕陽の色がなければ
ハッと我に返ることもなかったであろう。


不動産屋さんに紹介されたこの部屋で
あの時と同じ色の夕陽色を見た時
全てが懐かしい思い出に変わっていることを知った。
イメージ 1

今もって、安定した生活なんて得られていないけど
もはや私はそこに目を向ける価値などないことを知っている。


秋特有の夕陽色
イメージ 2

陽が動き
ビルの向こうに沈もうが、山の向こうに沈もうが
放つ光は変わらない、と

今日もまた、不変なものを知り
安堵感を抱きつつ空を眺める。